モンテッソーリ教育とは?メリット・デメリットを徹底解説

多くの人が一度は耳にしたことがあるモンテッソーリ教育ですが、実際にどのような教育方法なのか、その特徴やメリット・デメリットなど詳しいことは分からないという人も多いのではないでしょうか?

世界的に注目を集める人々が幼少期に受けていた教育方法として人気が高まり、保育園や幼稚園などの保育・教育施設でも取り入れる園が増えています。

特別な施設で教育を受けるイメージが強いモンテッソーリ教育方法ですが、幼児教育として自宅でも取り入れることも可能です。

ここでは、モンテッソーリ教育とは何か、その特徴やメリット・デメリットをまとめてお伝えしていきます。モンテッソーリ教育が気になる、詳しく知りたいという人は最後まで読んでぜひ参考にしてくださいね。

 

モンテッソーリ教育とは

モンテッソーリ教育とはどのような教育方法なのでしょうか。基礎となる考え方やその歴史について詳しくお伝えしていきます。

 

①「自己教育」という考え方が根底にある教育法

モンテッソーリ教育で基本となる「自己教育」とは「子どもは自分で自分を育てる力がある」という考え方です。この自己教育の考えを基に教育を行い、子どもの意欲や積極性を養います。

大人は子どもが活動に取り組むための環境を整え、お手本を見せることが基本的な役割。

通常の幼児教育では、大人は保育者・教育者となり子どもたちに指導することが主な役割になりますが、モンテッソーリ教育の場合は自己教育という考え方に基づき、大人が過剰な援助や指導をせずに見守ることも特徴のひとつです。

子どもたちがそれぞれ興味関心があることに意欲的に取り組み、「教具」と呼ばれる特別な教材を繰り返し使用しながら自分自身でさまざまな知識を身につけ、学び成長していく……その考え方がモンテッソーリ教育の基本になります。

自己教育で身につく能力はさまざまで、自主性や積極性、探究心や集中力など多岐に渡り、活動を行う中で子どもたちの自発的な姿を大切にします。

 

②モンテッソーリ教育の歴史

モンテッソーリ教育は、医師そして教育家であったマリア・モンテッソーリが20世紀初めに考え、実施した教育法です。

イタリアの精神病院で医師として働いていたモンテッソーリは、独自の教育法で知的障害児の知的水準を上げる方法を発見しました。

その後、貧困層向けの保育施設である「子どもの家」を作り、特別な教具を使った教育法を実施したことがモンテッソーリ教育の始まりです。

世界中に広まったモンテッソーリ教育の歴史は長く100年以上に渡り…日本には1960年代に入ってきた教育方法です。

さまざまな分野で活躍する数々の著名人がその教育法を幼少期に受けていたことから近年再び注目が集まり、現在では日本国内でも多くの保育園や幼稚園でその教育法が取り入れられています。

 

モンテッソーリ教育の特徴

モンテッソーリ教育の中心となる教育方法の5つの特徴をご紹介します。

 

①日常生活を重んじる

モンテッソーリ教育は日常生活を大切にしています。そのため、行事などの非日常的な活動は控えめです。

幼稚園や保育園では、子どもたちが行事に意欲的に参加することを大切にし、一年を通して季節ごとさまざまな行事を行います。

一方でモンテッソーリ教育を取り入れている園では季節の行事や運動会、発表会といった園行事をあまり盛大に行なわず、日々の活動を大切にしています。

モンテッソーリ教育は、特別な行事ではなく、日常生活の積み重ねから学び能力を伸ばしていく教育法です。

 

②子供の発達レベルに合わせる

モンテッソーリ教育は集団で行なうのではなく、ひとりひとりが興味関心や発達レベルに合わせた活動を行ないます。

幼稚園や保育園では、クラス内で子どもたちが一斉に同じ活動を行うことが主活動とされている一方で、モンテッソーリ教育では整えられた環境の中、子どもたちが自由に活動を行なうことを大切にしています。

発達の段階や興味関心が異なっていても問題なく、ひとりひとりの発達段階に合った教育を行い、それぞれが能力を伸ばしていく教育方法がモンテッソーリ教育の特徴のひとつです。個々に合わせた教育方法が、子どもの自主性を育みます。

 

③子供が自発的になれる環境が必要

子どもたちが自己教育を行うためには、自発的になれる環境が必要です。

モンテッソーリ教育では、子どもたちが魅力を感じ、意欲的に活動に参加できるよう環境を整えることを大切にしています。

子どもたちが自由に教具を選ぶために、種類豊富な教具がいつも整然と並べられ、子どもたちが手に取りやすいように配置されています。

それぞれの発達段階や興味関心に合わせた教具を選び、提供することが自主教育のモンテッソーリ教育には必要不可欠です。

子どもたちが自発的に活動できる環境作りは、モンテッソーリ教育を行う大人の役割のひとつです。

 

④「お仕事」の時間がある

モンテッソーリ教育では、「お仕事」と呼ばれる時間があります。

「お仕事」とは、誰もがイメージするようなお手伝いや労働といったものではなく、モンテッソーリ教育の特徴でもある「教具」を使った活動のことを指します。

子どもたちはお仕事を通してさまざまな能力を身につけていきます。お仕事は大人が意図的に決めるものではなく、子どもたちが自分で選び行なうものです。

整えられた環境の中で、繰り返しお仕事を行うことがモンテッソーリ教育のメインの活動となります。

 

⑤教具を利用した教育を行う

モンテッソーリ教育の最大の特徴はこの「教具」を使った活動があることです。

「教具」とは、モンテッソーリ教育特有の知育玩具のことで、五感を刺激する材質や色、重さにこだわった作りとなっています。この教具を使う「お仕事」と呼ばれる活動を通し、子どもたちは自己教育を行っていきます。

教具はそれぞれに役割を持ち、目的が異なります。自宅で取り入れる場合は、年齢だけでなく子どもの成長段階や興味関心、伸ばしていきたい能力に合わせて選ぶことが大切です。

 

モンテッソーリにおける5つの分野

モンテッソーリ教育では教具を使ったお仕事を行うことが主な活動となります。お仕事はそれぞれの目的に合わせて、5つの分野に分かれています。

①日常生活の練習 ②感覚教育 ③言語教育 ④算数教育 ⑤文化教育 の各分野に分かれた具体的な教育内容を見ていきましょう。

 

①日常生活

日常生活の練習と言われているこの分野は、実際に生活で使っているさまざまな教具を使って日常生活で行う動作の練習を行います。

日常生活の練習で使用する教具の特徴は、実際に使われている本物を使うということ。ガラスや陶器など、落としたら割れて壊れてしまうものや本物の花や植物を使用します。

0歳や1歳から日常生活の練習は可能です。

生活の基本となる日常生活の動作を実物である教具を使ったお仕事から学び、身に付けていきます。

 

②感覚

感覚教育は、「教具」を使った「お仕事」を通して視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚の五感を高めていきます。

聴覚機能を高めるためにある教具のひとつが「音感ベル」と呼ばれる音の高低差を聞き分ける教具です。

その他にも「色板」と呼ばれる色を認識して区別する色分けの教具や「触覚板」と呼ばれる滑らかさなどの触り心地を識別する教具など、モンテッソーリ教育には感覚機能を刺激し高める教具が数多くあります。

教具を使った感覚教育のお仕事は子どもたちの、感覚を刺激して、観察する力や考える力を養います。

 

③言語

言語教育のためにモンテッソーリ教育では、絵本やカード、文字のスタンプといった教具を使用します。

話す・書く・読むといった言語習得の基本的な部分から文法まで言葉に関して幅広く学びます。

具体的な教具としては「50音並べ」という50音の一文字ずつがパズルになっている教具や食べ物・動物・乗り物などジャンル別に分かれた絵合わせカードがあります。

コミュニケーションを円滑にするために言語の習得は欠かせない大切なことです。モンテッソーリ教育では社会性を身につけるための言語教育が充実しています。

 

④算数

算数教育では、数の数え方から長さ・高さの比較など子どもたちは教具を使い、お仕事をしていく中で学びます。

単純に数を数えるだけでなく、10個のビーズを数えることで10進法を学べる「10進法のビーズ」と呼ばれる教具や「算数棒」と呼ばれる長さや幅、高さを学ぶことができる教具もあります。

モンテッソーリ教育の算数教育では、量を捉える「量物」その量を言い表す「数詞」書いて示す時に使用する「数字」の三者を身につけることを目標にしています。

 

⑤文化

文化教育では言語や算数といった分野とは異なる幅広いジャンルについて学びます。

生物学や地理、歴史に音楽、美術、体育など…子どもにとって興味があるさまざまな分野に分かれています。種類が豊富な教具を使って知識を豊かにするお仕事が文化教育の活動です。

具体的な教具としては「世界地図パズル・日本地図パズル」「動物や植物の絵カード」があります。子どもたちは色彩豊かな教具に触れることで興味関心を高め、知識や理解を深めていきます。

 

モンテッソーリ教育のメリット・デメリット

教具やお仕事など、独自の取り組みがあるモンテッソーリ教育ですが、そのメリットやデメリットは何でしょうか?

具体的なメリット・デメリットをお伝えしていきます。

 

①モンテッソーリ教育のメリット

  • 自主性が育ち、積極性が身につく
  • 集中力がアップする
  • 個性を伸ばすことができる

子どもが主体となって自分が興味関心がある活動を繰り返し行うモンテッソーリ教育は、子どもの自主性を育て積極的に取り組む力を養います。

また、子どもが自分がやりたいお仕事に没頭し、夢中になれる環境が整っていることから、自然と集中力が高まるメリットもあります。集団での活動の場合、子どもは必ずしも自分の興味関心に合った活動ができるわけではなく、飽きてしまう、途中で集中が途切れることがよくあります。

しかし、モンテッソーリ教育はそのような意図的な集団活動がないため、好きなことを気が済むまで行うことができます。

そのことは、集中力を高めるだけでなく、個性を伸ばすことにもつながり、自分の好きなこと、得意なことを見つけることができます。

 

②モンテッソーリ教育のデメリット

  • 協調性に欠ける
  • 運動不足になりやすい

モンテッソーリ教育は、個別活動を大切にしています。そのため、集団活動の経験が乏しく、協調性に欠ける子供が育つといった意見があります。

子どもの自発性を大切にし、ひとりひとりに合った活動を行なうため集団での遊びが少ないことは事実ですが、

教具の貸し借りと行なう、縦割りクラスで自分よりも小さい子と接するといった機会が多いモンテッソーリ教育は、協調性や社会性が身につく場面も多く存在します。

また、教具を使った室内のお仕事がメインのモンテッソーリ教育は運動不足になりやすいといった意見もあります。

モンテッソーリ教育を取り入れた幼稚園や保育園では、運動不足を解消するために外遊びの時間や運動遊びの時間を別に設けている園も多く、運動不足が心配な場合はモンテッソーリ教育と通常保育のバランスをみながら園選びをするといいでしょう。

 

モンテッソーリ教育の現状

世界各国に広まっているモンテッソーリ教育ですが、その現状に国内外で違いがあるのでしょうか?海外におけるモンテッソーリ教育の現状と日本におけるモンテッソーリ教育の現状を比較しました。

 

海外におけるモンテッソーリ教育の現状

イタリア発祥のモンテッソーリ教育は、ヨーロッパを始めとする世界各国で取り入れられています。

その中でもアメリカではモンテッソーリ教育の人気が高く、多くの教育機関で普及し「オルタナティブ教育」(従来と異なる教育法)として注目を集めています。

日本では幼児教育のイメージが強いモンテッソーリ教育ですが、海外では幼児教育だけでなく、小学校や大学まで幅広い世代に親しまれているところに大きな違いがあります。

現在では、ヨーロッパやアジアなど世界各国でモンテッソーリ教育は人気が高まり、積極的に取り入れられています。

 

日本におけるモンテッソーリ教育の現状

1960年台に日本に渡ったモンテッソーリ教育は、現在では幼稚園や保育園、「子どもの家」などで積極的に取り入れられています。

近頃では、各園で実施されていた幼児教育方法と合わせてモンテッソーリ教育を部分的に取り入れる園も増えていて、モンテッソーリ教育をより身近に感じるようになりました。

保育園や幼稚園など、保育・教育施設で教育を受ける方法の他に、モンテッソーリ教育に必要となる教具を揃え、自宅で取り入れる方法もあります。

教具の購入はインターネットで気軽に購入できるようになりました。注目が高まったことで、モンテッソーリ教育に関する書籍も数多く出版されています。

 

まとめ

モンテッソーリ教育について、その特徴から具体的な教育内容、メリット・デメリットまでお伝えしていきました。

日本でも徐々に人気が高まり、注目を集めるモンテッソーリ教育ですが「教具」や「お仕事」など、独自の取り組みがある教育方法は、どのように取り入れるか良く考える必要があります。

家庭で取り入れるのか、幼稚園や保育園で教育を受けるのか……子どもの発達や興味関心を考慮しながらもじっくり検討していきましょう。

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